« 冬のスイス旅行記その6 ルツェルン編 | トップページ | 今年もいっぱい食べました。 »

2013年12月26日 (木)

冬のスイス旅行記その7 チューリッヒ空港への長い長い旅編

飛行機の時間は13:05。午前中のうちに空港へ着いて、おみやげ買ったり、空港のショッピングセンターにあるフードコートで食べ納めしよう、と朝のうちに出発。
Dscn1978
↑ルツェルンからチューリッヒ空港行きの列車に乗る。1等車すいてます。ソファもガラガラです。この時点では電光表示も「空港行き」。

「空港行き」だから、終点まで乗っていれば空港駅に着くはずだったのです。
そうなんです。ここでついに私のSPECが発動してしまったのです。 
空港駅の一つ前のチューリッヒ中央駅で、降りていくお客さんがどうもやけに多い。さすがチューリッヒ中央駅。空港へ行く人より降りる人が多いなんて、やっぱり都会だなぁ、なんて思って座ったままでいたら、一旦は上着を着て荷物を持って列車を降りかけていたほかのお客さんがわざわざ戻ってきて、私に向かって「エクスキューズミー…、この列車はアクシデントがあって、空港まで行きませんよ、乗り換えが必要です」と英語で教えてくれたのです。
サンキュー!と言って飛び上がりました。そういえば到着直前にドイツ語の車内アナウンスがありましたが、「次はチューリッヒ中央駅、この列車は空港行きです」といった案内程度だろうと思っていました。危ない危ない。慌ててホームに降りたら、確かに全然違う行き先の表示に変わっていました。あのまま乗っていて、全く違う方向へ行ってしまって、次の停車駅が1時間先くらいだったら…と思うと、本当に教えてくれた人に感謝です。
自分も、外国人の人とかが日本でこんな状態でいたら、絶対教えてあげよう、と心に誓いました。

チューリッヒ中央駅で案内表示板を見ると、3分後に発車の空港行きIRと、7分後に発車の空港方面行きICがある。私が乗っていた列車には、なにやらドイツ語の文字が表示されている(多分、変更とかアクシデントとか、そんな意味だと思う)。
運命の分かれ道は、その時にはわからない。後にならないと。
ちょっとでも早く空港に着きたかったので、先に出発する列車に乗りました。
他の大勢の、大きなスーツケースを転がしている空港へ向かう人たちと一緒に。

チューリッヒ中央駅から空港駅までは、IRでもICでも10分ほどで着くはず。ところが、走って5分ほどで、急に列車が何もないところで停まってしまった。窓の外は線路と街並み。
やがてドイツ語の車内アナウンスが流れる。耳をすましてみたが、「モメント」と「ダンケ」しかわからない。周りのお客さんはそれほど大きな反応はしていない。「停止信号です、少々お待ちください」的な停車かな、と想像する。
ところが、いくら待っても列車はまったく動き出さない。

やがてまたアナウンス。今度はドイツ語のに続いて英語も。
「この列車はアクシデントが起こり、動けません。いつ動けるかまったくわかりません」
窓の外の街路を、サイレンを鳴らした緊急車が何台も通りすぎるのが見える。
そのうち、7分後に発車しただろう後発の列車が、停車中の私たちの乗った列車の脇をゆるゆると追い抜いて行くのが見える。
「急がば回れ」という言葉が浮かぶ。

あああ。やっちまった。しかし、こんな何もないところで停まったんじゃ、降ろしてはもらえないだろうし、大勢の大きな荷物を持った空港へ向かう客が乗っているから、バスで振替輸送、というのも、バスが何台必要かわからない。機関のトラブルなら、ほかの気動車を手配したりするのだろうか? 私はまだ出発時間までに余裕があるからいいけれど、飛行機の時間が迫っている人はどうにも困るだろう。後発の列車は追い抜くんじゃなくて、隣に横付けして、私たちを乗せてくれればいいのに…。
いや、これで万一飛行機のチェックインに間に合わなかったら、そうか、もう1泊スイスに堂々と泊まれるじゃん。ホテル代は想像がつくとして、正規の値段で明日の帰りの航空券を買うとしたら、いったいいくらになるんだろう…

列車が停まってしまってから、30分近くたったろうか。またドイツ語のアナウンス。
今度は、アナウンスが終わる前に、周りの人たちが荷物を持っていっせいに立ち上がって車両を移動し始めた。何て言ったんだろう? 近くに座っていて移動しかけた女性の方に翻訳してもらおうと「エクスキューズミー」と声をかけると、「ダメダメ私は英語できないから」といったジェスチャーでそのまま行ってしまった。と思いきや、すぐ向こうの席にいたほかの女性客に「私は英語ができないから、あの人に説明してあげてくれない?」と頼んでくれている! 頼まれた人はすぐにパッと私の方を向いて、なんの迷いもなくすごい勢いで、身振り手振り付きの英語で説明してくれた。
スイスの人って、なんて親切なんだろう。
この時も、きっと私もこんなふうに、迷わず誰かを助けられる人になろう、と決心した。

とにかく、ここでは外に出られないから、今居る車両からもっと前の車両へ移動して、前のほうの車両から外へ出て、後から来る列車に乗り換えるのよ、次の列車は10分後には到着するから、急いで前の車両に移動して! という内容だった。
前に移動して外に出るんですね?と確認し、ありがとうと心から言い、行く末を心配してそばにいた最初に声をかけた英語はダメと言っていた女性にもサンキューと言い、荷物を持って他の客と一緒に移動した。

Dscn1979
↑ホームは人でいっぱい。みんな不安そう。職員がいたので、「空港へ行けますか?」と聞くと「大丈夫」と言う。外に出てみてわかったが、列車の前の2、3両ほどは、本来ならIRは止まらないだろうローカルな駅のホームに差し掛かっており、そのため前のほうの車両からなら、ホームに降りられた次第。先頭の気動車付近は幕で覆われて、SBB POLICEのバッジを付けた人が何人もいて、私たち降りてきた乗客が先頭車両には近づけないようにガードしていた。人身事故だったのだろうか。
ホームの反対側は、本来なら反対路線だが、「チューリッヒ中央駅行き」電車の案内表示板には「運休、アクシデント」の表示が出ていた。反対路線を使って、空港行きの列車を通すのだろう。

やがて、短い編成のSバーンか何かわからない(誰かが地下鉄車両だ、と言っていたが)列車が来る。これに乗るのか? 私たちの位置からははるか遠い位置の向こうのほうのホームに停まる。どうしたらいいのかわからない外国人旅行者が、そのSバーン?に向かって歩き出そうとしたら、近くにいた女性が毅然と大きな声で、「ネクストトレイン、トゥエアポート!」と言った。首にネッカチーフを巻いている、多分どこかのキャビン・アテンダントさんだと思う。旅行者が、でも飛行機の時間が迫っていて、タクシーのほうが早いでしょうか?と彼女に聞くと、はっきりと次のトレインで大丈夫だ、と言う。彼女の言葉で、どれだけ安心させられたことか。

次にホームに到着したICに乗り(この状態なので1等も2等もなく、みな目の前の車両に乗り、あいている席に相席して座った)、乗ったらあっという間に空港駅へ。「次は空港駅」とアナウンスが流れた時には乗客にためいきのような歓気が静かに流れた。私の目の前に座った年配の女性の方は旅行客ではなく地元の方らしく、私がやっと空港に着く!と嬉しそうな顔を向けたら、声をかけてくれた。空港まで?これからフライトです。そう、よかったわね。
1時間弱にわたる、チューリッヒ中央駅から空港駅までの、思いがけない長い旅が終わった。

チェックインは急ぐ人に譲り、スーパーへかけこんでバターを買い込む。ヨーロッパへ行ったらバターを買うべし、とはイタリア料理の先生の教え。冬ならでは。ジップロックで封印して預け荷物の中へ入れる。バターはなんとか間に合ったが、フードコートに寄る時間はなかった。お腹すいてるのに。おみやげのパンは、朝ルツェルンで買っておいた。こんなことなら塩付プレッツェルも買えばよかった。

列車が遅れたせいで、各地の駅でフライトチェックインされた荷物の到着が遅れ、飛行機の出発も遅れた。帰りの便は満席だった。
Dscn1981
↑スイス発の便の機内食のベジタブルメニューは、チューリッヒのレストランHILTL監修のラザーニア。フタを開けたところも写真に撮ろうと思っていたのに…

最終日にお約束のトラブルに遭いながらも、無事帰国。東京の5度の気温がなんてことなく感じる。
空港のレジでちょっとした会計ミス。そういえば、さすが金融の国スイス、屋台のおじさんですら、計算ミスやおつり間違えはなかった。日本人、負けてるじゃん。
おしまい。

|

« 冬のスイス旅行記その6 ルツェルン編 | トップページ | 今年もいっぱい食べました。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 冬のスイス旅行記その6 ルツェルン編 | トップページ | 今年もいっぱい食べました。 »